ハチとコガネムシ

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作品紹介

 母を探すハチの子が、手掛かりを求めて藁をもつかむ思いでコガネムシを頼ります。少しでも心当たりがないかを問うハチの求めに、コガネムシは彼なりの誠意を見せるのです。コガネムシの善意による提案を、無下に断ることができないハチだったが、どこまでいっても二者の会話がかみ合うことはなく、虚しさを超えた狂気がそこにはただ流れていくのでありました。
 ハチとコガネムシはともに昆虫であり、人間の目からは互いにコミュニケート可能な存在のように感じられますよね。実際、物語冒頭でもその先入観が巧みに共通認識的前提として用いられ、ハチは当たり前のようにハチの言語でコガネムシに問い、コガネムシも問われたということを理解していると見てとれるわけです。しかし、表面的な会話とは裏腹に、互いは一向に分かり合えない存在であることが次第につまびらかにされていきます。やはりどこまでいってもハチはハチ、コガネムシはコガネムシという当たり前のことが当たり前だと気付かされます。この表現は実は、同じハチである子と母の間にも、そのような先入観が存在していないかということを視聴者に問うているのです。すなわちこの作品は、いにしえより、長く議論され続けている「他者との真の意思疎通は可能であるか」を考察した「ハチ-コガネムシ問題」の精緻な映像化であったといえるのではないでしょうか。

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