世界の王

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作品紹介

 森でうたた寝をしている少女の無防備な鼻から、大きく鼻ちょうちんが膨らんでいきます。そして、膨らみきった鼻ちょうちんは突如少女に向かって語りかけるのです。「私は世界の王だ」と。これは、鼻の奥に世界の王が住み着く不運な運命に立ち向かう、少女の受容と拒絶の物語なのです。
 居眠りをしていた人が鼻ちょうちんに話しかけられた場合、一体どのような反応を示すのか気になることってありますよね。この作品ではその主題に真正面から挑戦しています。少女は、その性格なのかあるいは寝起き状態によるものなのかは定かではありませんが、不自然なほど自然に世界の王である鼻ちょうちんの主張を受け止めていきます。その受容力が「すごい悪いことをした」とする世界の王の傲慢さを易々と削り落とし、さらには謙虚さを呼び起こしていくという様子が、ここではワンカットで描かれます。そして、純粋に贖罪の思いから善行の旅へと向かう希望を打ち明ける世界の王でしたが、その淡い期待は少女の強めの拒絶によって絶望的に裏切られます。この一連の流れで本作は、誰もが知りたかった「鼻ちょうちんに話しかけられた人の反応」の複雑さを精緻な心理描写で描き切りました。まさに「ハナチョリック・リアクション」の金字塔と言えるのではないでしょうか。

 

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